## 7月以降暴落に転じた1年前のユーロ/円類似した値動きは「アナロジー」とも呼ばれるが、2024年と2025年のユーロ/円のアナロジーは、7月にかけての一段高が日独金利差(ユーロ優位・円劣位)から大きく乖離したものだった(図表1、2参照)。【図表1】ユーロ/円と日独金利差(2025年1月~)出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成【図表2】ユーロ/円と日独金利差(2024年1~8月)出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成金利差から大きく乖離して上昇した2024年のユーロ/円は、8月にかけて急反転すると一気に金利差が示唆する水準に近い160円割れへ大暴落となった。では、それはなぜだったのか。## 米ドル/円の転換がきっかけになった2024年のユーロ/円反転この時のユーロ/円の上昇は、米ドル/円の上昇に連れた面が大きかったとみられた。米ドル/円の上昇はやはり日米金利差(米ドル優位・円劣位)からは大きく乖離したものだった(図表3参照)。そして、金利差で説明できない米ドル/円上昇が日本の通貨当局の米ドル売り介入をきっかけに反転。一転して米ドル/円が大暴落に向かうと、それに連れる形でユーロ/円も、一気に金利差からの乖離を埋めるような暴落となったのだった。【図表3】米ドル/円と日米金利差(2024年1~8月)出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成最近のユーロ/円の上昇は、米ドル/円よりユーロ/米ドル上昇がリードしている面が大きいのではないか。そして、ユーロ/米ドルの上昇も独米金利差からは大きくかい離したものになっている(図表4参照)。【図表4】ユーロ/米ドルと独米金利差(2025年1月~)出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成2024年の金利差からかい離した米ドル/円の上昇と、2025年、ここまで金利差からかい離したユーロ/米ドルの上昇では、上昇の理由が違いそうだ。前者は、日本の通貨当局が円買い阻止介入に動けなくなったのではないかとの見方から投機筋の米ドル買い・円売りが急増したことが主因だったのに対し、最近にかけてのユーロ/米ドルの上昇は、4月の「関税ショック」などをきっかけに、トランプ米大統領の政策への不信感から米ドルの信認が揺らいだ「米ドル離れ」の結果と見られているのではないか。前者の投機的円売りは、予想外の米ドル売り介入出動をきっかけに「円売りバブル」破裂が起こると1ヶ月もしない間に約20円もの米ドル/円の大暴落となり、それがユーロ/円にも波及したとみられた。では、今回はどうか。金利差からかい離したユーロ/円の反転は、同じく金利差からかい離したユーロ/米ドルの上昇の行方が鍵になるのではないか。
【為替】1年前とのアナロジー続くユーロ/円 | 吉田恒の為替デイリー | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
7月以降暴落に転じた1年前のユーロ/円
類似した値動きは「アナロジー」とも呼ばれるが、2024年と2025年のユーロ/円のアナロジーは、7月にかけての一段高が日独金利差(ユーロ優位・円劣位)から大きく乖離したものだった(図表1、2参照)。
【図表1】ユーロ/円と日独金利差(2025年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表2】ユーロ/円と日独金利差(2024年1~8月)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
金利差から大きく乖離して上昇した2024年のユーロ/円は、8月にかけて急反転すると一気に金利差が示唆する水準に近い160円割れへ大暴落となった。では、それはなぜだったのか。
米ドル/円の転換がきっかけになった2024年のユーロ/円反転
この時のユーロ/円の上昇は、米ドル/円の上昇に連れた面が大きかったとみられた。米ドル/円の上昇はやはり日米金利差(米ドル優位・円劣位)からは大きく乖離したものだった(図表3参照)。そして、金利差で説明できない米ドル/円上昇が日本の通貨当局の米ドル売り介入をきっかけに反転。一転して米ドル/円が大暴落に向かうと、それに連れる形でユーロ/円も、一気に金利差からの乖離を埋めるような暴落となったのだった。
【図表3】米ドル/円と日米金利差(2024年1~8月)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
最近のユーロ/円の上昇は、米ドル/円よりユーロ/米ドル上昇がリードしている面が大きいのではないか。そして、ユーロ/米ドルの上昇も独米金利差からは大きくかい離したものになっている(図表4参照)。
【図表4】ユーロ/米ドルと独米金利差(2025年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
2024年の金利差からかい離した米ドル/円の上昇と、2025年、ここまで金利差からかい離したユーロ/米ドルの上昇では、上昇の理由が違いそうだ。前者は、日本の通貨当局が円買い阻止介入に動けなくなったのではないかとの見方から投機筋の米ドル買い・円売りが急増したことが主因だったのに対し、最近にかけてのユーロ/米ドルの上昇は、4月の「関税ショック」などをきっかけに、トランプ米大統領の政策への不信感から米ドルの信認が揺らいだ「米ドル離れ」の結果と見られているのではないか。
前者の投機的円売りは、予想外の米ドル売り介入出動をきっかけに「円売りバブル」破裂が起こると1ヶ月もしない間に約20円もの米ドル/円の大暴落となり、それがユーロ/円にも波及したとみられた。では、今回はどうか。金利差からかい離したユーロ/円の反転は、同じく金利差からかい離したユーロ/米ドルの上昇の行方が鍵になるのではないか。