## 伸び悩みの理由その1:移動平均線との乖離率拡大先週7月23日の取引開始前に、日米が関税交渉で合意したと伝わり、業績に影響を与える不透明要因がなくなったことや、関税率が当初の25%から15%に低下したことなどが好感され、日経平均株価は5日移動平均線を上回って始まった後、大きく水準を切り上げ、大陽線を形成しました。また、翌7月24日も上昇が続き、取引時間中に42,065円83銭を付ける場面がありました。ただ、42,000円台を回復したものの終値で維持することができず、その後は7月29日までで3日続落となっています。こうした状況がなぜ起こったのか。理由は2つあると考えています。1つは5日移動平均線と株価の乖離率です。7月24日に株価は一旦天井をつけていますが、この時と似た値動きになっていた場面がありました。それが6月30日に高値をつけたところです。この時も40,852円54銭の高値をつけたあと伸び悩みましたが、株価と移動平均線との間に、天井をつける可能性を示唆する共通点があったのです。その共通点とは、25日移動平均線との乖離率の拡大です。6月30日に高値をつけたとき、25日移動平均線と株価の乖離率は5.49%と、一般的に買われ過ぎとされる5%を上回っていました。また7月24日は5.39%と、こちらも5%を上回っています。このように、買われ過ぎとされる5%の水準をともに上回っていたことから、その後伸び悩んだと判断することができます。特にこの2日は、それぞれ上ヒゲが形成されていますので、取引時間中は終値の水準よりさらに乖離率が拡大していたと考えられ、その後の反落につながったのではないかと考えられます。【図表】日経平均株価(日足)出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定※出来高はプライム市場※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示## 伸び悩みの理由その2:逆行現象の発生一方、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が上昇し、7月24日に6月30日の高値を上回りました。しかしモメンタムのピークを見ると、6月30日の水準を上回っておらず、これまで何度も指摘してきた「逆行現象」が発生しているのです。モメンタムの逆行現象は、株価が高値を更新しているにも関わらず、前の高い水準に届かないことから、上昇の勢いが弱まっていると考えられ、ピークアウトすることを示唆していることになります。そのため、逆行現象が発生したあとに2本線が低下する場合は、株価のピークアウトに注意が必要で、7月24日以降の値動きをモメンタムが示唆していたと言えるわけです。このように移動平均線との乖離率の拡大、モメンタムの逆行現象といった、これら2つの理由から株価が伸び悩んだということが言えるのです。## 今後の動向は?また、今後の展開についてですが、モメンタムの低下が続く場合、株価は25日移動平均線辺りまで下落することが考えられるため、押し目買いは控えるか、下げ止まりを確認してから行う必要があると思われます。一方で、乖離率が低下するなか、2本線が上昇に転じるような場合、反発期待が高まると思われますので、今後のモメンタムの方向や水準に注目して売買判断に役立てたいところです。
【日本株】日経平均が42,000円をつけたあと伸び悩んだ2つの理由 | 福永博之のいまさら聞けないテクニカル分析講座 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
伸び悩みの理由その1:移動平均線との乖離率拡大
先週7月23日の取引開始前に、日米が関税交渉で合意したと伝わり、業績に影響を与える不透明要因がなくなったことや、関税率が当初の25%から15%に低下したことなどが好感され、日経平均株価は5日移動平均線を上回って始まった後、大きく水準を切り上げ、大陽線を形成しました。
また、翌7月24日も上昇が続き、取引時間中に42,065円83銭を付ける場面がありました。ただ、42,000円台を回復したものの終値で維持することができず、その後は7月29日までで3日続落となっています。
こうした状況がなぜ起こったのか。理由は2つあると考えています。1つは5日移動平均線と株価の乖離率です。7月24日に株価は一旦天井をつけていますが、この時と似た値動きになっていた場面がありました。それが6月30日に高値をつけたところです。この時も40,852円54銭の高値をつけたあと伸び悩みましたが、株価と移動平均線との間に、天井をつける可能性を示唆する共通点があったのです。
その共通点とは、25日移動平均線との乖離率の拡大です。6月30日に高値をつけたとき、25日移動平均線と株価の乖離率は5.49%と、一般的に買われ過ぎとされる5%を上回っていました。また7月24日は5.39%と、こちらも5%を上回っています。
このように、買われ過ぎとされる5%の水準をともに上回っていたことから、その後伸び悩んだと判断することができます。特にこの2日は、それぞれ上ヒゲが形成されていますので、取引時間中は終値の水準よりさらに乖離率が拡大していたと考えられ、その後の反落につながったのではないかと考えられます。
【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示
伸び悩みの理由その2:逆行現象の発生
一方、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が上昇し、7月24日に6月30日の高値を上回りました。しかしモメンタムのピークを見ると、6月30日の水準を上回っておらず、これまで何度も指摘してきた「逆行現象」が発生しているのです。
モメンタムの逆行現象は、株価が高値を更新しているにも関わらず、前の高い水準に届かないことから、上昇の勢いが弱まっていると考えられ、ピークアウトすることを示唆していることになります。
そのため、逆行現象が発生したあとに2本線が低下する場合は、株価のピークアウトに注意が必要で、7月24日以降の値動きをモメンタムが示唆していたと言えるわけです。
このように移動平均線との乖離率の拡大、モメンタムの逆行現象といった、これら2つの理由から株価が伸び悩んだということが言えるのです。
今後の動向は?
また、今後の展開についてですが、モメンタムの低下が続く場合、株価は25日移動平均線辺りまで下落することが考えられるため、押し目買いは控えるか、下げ止まりを確認してから行う必要があると思われます。
一方で、乖離率が低下するなか、2本線が上昇に転じるような場合、反発期待が高まると思われますので、今後のモメンタムの方向や水準に注目して売買判断に役立てたいところです。